10. 金が金を生むのです

経営戦略

~キャッシュフロー経営は「ゆとり経営」への出発点です~

経営者の心のゆとりは、常に現金が不足しない状態で生まれるからです。
キャッシュフローとは一定の期間内の入金と出金を明らかにすることによって現金の収支状

況を把握するためのものです。
このことから、キャッシュフロー経営とは帳簿上の利益より手元の現金の出入りを重視

し、安定した資金繰りを最優先する経営手法とも言えるでしょう。
メリットとしては利益が出ているが資金不足のために陥る黒字倒産を回避できること、投

資や借入返済の資金を確保することで安定した企業経営と成長を目指せること。
加えて予測不能な事態に対応できることや金融機関の評価が高まり資金調達が円滑にでき

ることなどがあげられます。

 キャッシュフロー経営に徹すると売り上げが立ったからといって安心することがなくなり、現金が入って初めて取引が成立したという意識になるものです。このことが貸し倒れや入金の

遅れを防ぐことに繋がるのです。

 中小企業間の取引においては現金による仕入れによって大幅に仕入れ値を安くすることが

可能になるのが現状でしょう。

資金繰りに悪戦苦闘する経営者の相談に乗ってきた経験を持つ私にとってキャッシュフ

ロー経営の最も大きなメリットは経営者の「心のゆとり」だと思うのです。
来る月も来る月も資金繰りに追われていたのでは「自分はいったい何のために経営をし

ているのだろうか」と落ち込み、経営者として最も大切な意思決定に支障をきたす危険性

さえあります。

「現在の私の日常はひたすら約束手形を落とすための人生です。四六時中お金のことを考えている人生でもあります」これはある経営者が私に言った言葉です。
今ではその経営者もキャッシュフロー経営で見事に立ち直っています。

私は「喉から手の出るほど欲しい人材に遭遇したにもかかわらず、資金不足に苦慮している

最中のことで涙を呑んで採用を諦めた』というある社長の話も聞き及んでいます。

不思議なことにキャッシュフロー経営によって苦境を脱出した企業が利益を出し始まると資

金繰りにも余裕ができても、例外なくキャッシュフロー経営を継続されていることです。その様

子を見るにつけ胸をなでおろす私です。

 「利益が出ていて、常に潤沢なお金がある」状態が、経営者が心にゆとりを持ち本来の経営の面白味さを享受できるのではないでしょうか。

 ここで中小企業におけるキャッシュフロー経営の強みを整理してみましょう。

 第一に中小企業は資金力が乏しいために経営者は常に資金ショートの恐怖に苛まれています。キャッシュフロー経営によりこの問題の解決が図られることによって経営者の心のゆとりが生まれ安定した経営体制がつくられ、ゆとりを持った意思決定ができます。

 第二に資金繰り優先の経営になって不渡り手形を出して倒産することや黒字倒産を招くこと

も防ぐことができます。

 第三に経営者が投資に回せる資金を把握していることにより新しい仕事のチャンスに素早く対応できます。

 第四に計画的な資金繰りができるため金融機関の信用度が高まります。

第五に現金の流れがはっきりしているため不要な在庫や不要な経費が目に付きやすくなりムダをはぶくことになります。 

第五に考えもしなかった会社の身売りや破格の安値で不動産を買ってほしいなどの話が持ち込まれることは珍しくありません。特に「あの会社は支払いが良い」とか「あの会社は資金が余っている」などの噂が経つとこの手の話は引きも切らさず持ち込まれます。特に地方ではこの現象は顕著でしょう。

時には「お金があったら、あの時こそ千載一遇のチャンスだったのに‥」とする述懐する経営者もいるようです。

「金は金を呼ぶ」ということわざがありますが、お金があるところにお金が集まるのが世のなかの仕組みと言えるのではないでしょうか。

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