~経営計画書は俯瞰的な目で書くことです~
変化の激しい時代を乗り切るためには経営計画書を持つことが大切です。
経営計画書を持たない経営は海図を持たずに航海するのに等しいと言えるでしょう。
経営計画書を作成することはムダな努力を省くことに繋がります。
重要なことは経営計画書を作成する場合、中長期経営計画書を毎年作成すべきだと考えます。その理由は経営を5年から10年先まで展望しながら経営をしてほしいからです。
高い場所から見下ろすように経営の全体像を広い視野からとらえて欲しいのです。
ふつう中長期は5年から10年、短期は1年(単年度)を指します。
短期経営計画書だけ作っても、それがはいくら精緻なものであっても近視眼的な発想の産物でしかありません。
単年度の計画では夢やビジョンさえ思い浮かばないのが普通です。
5年から10年後の社会的変化や消費者動向等を予測したうえで、そのときのわが社の到達点と、そこまでの道筋を余すところなく言葉と数字で表現しすることが中長期経営計画書になるのです。
だからと言って短期経営計画書が不必要だと言っているのではありません。中長期経営計画書の中の今年度があるいは中長期経営計画の中の次年度が短期経営計画書なのです。常に未来を見据えながら現実に戻る作業をするのです。
「中長期」と「短期」の違いを「中長期計画」はプランであるが、「短期計画」はプロジェクトに過ぎないという説もあるくらいです。
私がご指導申し上げて成功した例をお話ししましょう。
ここではA社としておきましょう。5年後10年後の社会的変化の予測を立ててそれに対応した戦略と計画を立てようとしましたが、なかなか容易ではありませんでした。そこでA社では仮説を立てたのです。
それは、5年後に社員の給与を現在の2倍にしなければ良い人材は定着しないであろうし、人も集まらないであろうという仮説です。
つまり現在の1人当たりの人件費を2倍にしたとして、今の純利益を確保するためにはいくらの粗利益高を得なければならないのか?
現在の社員数で同じ粗利益高を得るには労働生産性をいくらにしなければならないか?
仮に粗利益率が同じであるならばいくらの売上高を上げなければならないのか?
そのためにはどのような商品構成にしなければならないのか?
その時点での労働分配率をいくらに抑えなければならないのか?
それらの実現のためにはどのような教育・訓練が必要か?
そのためにはマニュアルやルール等のシステムをどう変更すればよいのか?
コントローラーやエデュケーターの役割は誰にするのか?
それらのタイムスケジュールは誰が立てるか?
これら個別の計画を立てることから始めたのです。
やってみればできるものです。
最初のうちは悪戦苦闘の連続でしたが、徐々に軌道にのり計画書は出来上がりました。この会社は今では成長企業の仲間入りをしています。
中長期経営計画書の作成にはできるだけ多くの社員が参加することが望ましいのです。
部分的にでも計画に参加することの意味は大きいものがあります。
蚊帳の外にいた人間に「経営計画?俺にはかかわりのないことだ」とうそぶきながら仕事をさせることは避けたいからです。
社員が中長期経営計画書の作成に参加しながら次のような会話がされていたとしたら、それだけで意味のあることだと思いませんか。
A「5年後、10年後は世の中どう変わっているであろうか。その時のわが社が今のままでいいはずがない」
B「10年後の売れ筋商品を考えていたのだけれど〇〇などが売れる時代になっているかもしれないなー」
C「今売れ筋である○○は姿を消してしまいそうですねぇ」
D「10年後と言えば俺は○○歳。こうしてはいられない。本気で勉強しなくては・・・」
人間、流れにまかせていたずらに年をとっていくのと、自分の歩みを確かめながら生きていくのとの違いは成長において大きな違いが生まれると思うのです。


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